TAMAGO COCCO
TAMAGO COCCO

はじめにちょっとだけ
お付き合いください。

こんにちは。東京都・新宿の市谷薬王寺町にある洋菓子店『TAMAGO COCCO』で
シェフパティシエをしております、岩村です。
はじめましての方も、何度か来ていただいている方もいらっしゃるかと思います。
2019年の4月にこの場所でリニューアルオープンをしてからはや2年。
新宿でありながら住んでいる方が多いこの街で、
ようやく近隣の方々に知ってもらえるようになってきたと感じています。
一方で、まだまだ伝えられていないこだわりやおすすめも多いので、
このウェブサイトでは、私がまるっとお店のことを紹介させていただきます。

岩村 周平

シェフパティシエ

岩村 周平いわむら・しゅうへい

1982年、静岡県生まれ。『銀座近江屋洋菓子店』を経て、『コンラッド東京』でバンケットのパティシエを担当。その後フランスに渡り、パリ最古のレストランと言われる『ラペルーズ』でシェフ・ド・パルティを担う。帰国後は「レコールバンタン」で講師や、「KURKKU」で平飼い卵を使った商品開発を行う。2019年9月の店舗立ち上げ時から『TAMAGO COCCO』のシェフパティシエを務める。

コンセプトこんなに国産の原料に
こだわるお店って、
実はほとんどないんです。

『TAMAGO COCCO』のコンセプトは「たまごと国産原料のよさを、スイーツを通じてお客さまに提供する」こと。なぜかと言えば、実は『TAMAGO COCCO』って「JA全農たまご」というJAグループの中で鶏卵を取り扱う会社が運営するお店なのです。「お店の外観からは想像できなかった……」とよく言われます(笑)。国産の素材や原料に精通しているからこそ、その良さをもっと広めていきたい。そんな思いでお店をつくったのです。

大小さまざまな洋菓子店やレストランでスイーツづくりに携わってきた私から見ても、ここまで素材や原料を選ぶお店はそうないと言い切れます。そもそも洋菓子の主な原料は、卵、小麦粉、乳製品、砂糖の4つ。果物などの生モノを扱う場合を除けば、語弊があるかもしれませんが、原材料の原産地まで精査する必要もあまりないのです。だから海外から輸入しているお店の方が多いと思います。でも『TAMAGO COCCO』は新しい材料を使うにあたって、必ずその材料の規格書を取り寄せることから始めます。もちろん主原料の多くを国内から調達。それらがどこで作られたもので、何が入っているのかを確認することが私たちのお菓子づくりの第一歩なんですね。当たり前のように卵はすべてブランド卵を使っていますが、それも他のお店ではあまりないことです。

素材へのこだわりが強い分、スイーツ自体の金額が上がってしまうのでは? と思われる方も多いかもしれません。実際にコンビニや大手チェーンと比べれば高くはなってしまいますが、アート作品のようなスイーツを出すお店やとびきりの専門店に比べれば、普段から買ってもらえるような値段設定にできていると、個人的には思っています。それはやっぱり、食べても美味しいし、安心できる国産を当たり前のように選んで欲しいから。特に『TAMAGO COCCO』の近辺にはお子さまがいるご家族もかなりいらっしゃいますから、口に入れるものはスイーツであっても、原料から気をつけて、美味しく食べてもらいたいんです。

こだわり素材の良さを活かすため、 手間ひまかけています。

あくまでも質の良い素材がベースにあるので、そこまで華美にデザインせずに、シンプルなお菓子づくりを心がけています。例えばケーキ類の土台になるスポンジ。今のトレンドは口当たりが軽いものなのですが、『TAMAGO COCCO』では昔の洋菓子店でつくられていたようなカステラのようなどっしりとしたものにしています。これによって、シロップなどに頼らずに、たまご感をしっかりと味わってもらえるんです。

華やかなスイーツの、強い味に食べ慣れた方からすると、濃厚さや甘味が足りないと思うこともあるかもしれません。でも素材を活かしたスイーツを日常的に食べてもらうことで、優しい味わいが癖になってきます。

これは色んなスイーツをつくってきた経験の中から培った自論なのですが、スイーツの加工度が下がれば下がるほど、素材の生命力が輝いてくるなと。できるだけ装飾しないで仕上げることによって、純粋な美味しさによる喜びとはまた違う、体に蓄えられるエネルギーというか。ちょっとスピリチュアルな話に聞こえてしまうと申し訳ないのですが……。とはいえ、素材一辺倒にならないように、細かいところの工夫には手間をかけています。そんな商品への細かなこだわりを、代表的な商品を通じてご紹介しますね。

店舗デザインミニマルだけど
温かみのある
空間を
目指して。

私たちは、卵をはじめとした国産原料の研究者であり、原料をスイーツにする職人でもある。そんな姿をお客さまに視覚的にオープンマインドで伝えていきたいということから、店舗デザインのコンセプトは“Laboratory=ラボ”としました。外観はガラス張りの研究所のようなイメージです。ファサード部分のサインにも密かな工夫があります。下地をくり抜いてアクリル素材を貼ることで、活版印刷のように凹凸のあるものにしているんです。コンクリートのようなデザインだけですと、ちょっと近付き難い雰囲気になってしまいますから、ちょっとした所の温かみは忘れたくないのです。

内装も外観のコンクリート打ちっぱなしのような清潔感のある印象を基本に、スイーツが置かれたガラスのショーケースへ自然に目が止まるよう、要所要所に杉の素材を使っています。

ショーケースのその先には、広い厨房を望むことができます。時間によっては大きなオーブンに火が灯っている赤々とした様子も見えるので、決して作り置きではなく、素材に向き合う真摯な姿が日常的に見ていただけます。

団欒にも、
お持たせにも。

店名
TAMAGO COCCO(たまご こっこ)
住所
〒162-0063 東京都新宿区市谷薬王寺町20−45
営業時間
10:00〜19:00
定休日
水曜日
最寄り駅
都営新宿線曙橋駅 A3出口 徒歩6分 大江戸線牛込柳町駅 南東口 徒歩5分

おわりにこれからも
お付き合いください。

お店の紹介にお付き合いいただき、ありがとうございました。こんなご時世ですから、直接お話しにくいところもあって、こちらで私たちのこだわりをお伝えいたしました。もちろん、お店でもお話したいことはたくさんありますので、気軽にお声がけいただれば嬉しいです。

私自身が感じるこの街への印象として、ずっとこの街に住んでいる方から、単身者の方、家族で引っ越されてきた方まで、本当に老若男女の方がいらっしゃるなあと感じています。そういった多種多様の生活スタイルがあり、かつ東京の中心地である新宿区にもかかわらず、「お持たせ」の文化がちゃんと残っているというのは本当に素晴らしいです。目の肥えた皆さんに、この街の「お持たせ」の定番と思ってもらえるように、従業員一同、精進して参ります。

また、美味しいスイーツをご提供するのは当たり前のことですが、近隣の方々に素材の良さを伝えていく活動は定期的に実施したいと考えています。一昨年には、近くの牛込仲之小学校の課外授業の一環で、4人の小学生にお菓子教室を開催しました。お菓子をつくる現場では、実際にどういうものが使われているのか、どういう工程でつくられているのか。そんなことも学んでいただける、まさに“ラボ”のような存在を目指していこうと思います。

今後とも末永く、よろしくお願いいたします。
お店で会いましょう。