JA全農たまご㈱(河上雄二社長―本社・東京都新宿区)は2月1日、昨シーズンの高病原性鳥インフルエンザ発生後に失われた鶏卵需要が戻らない中、今年上半期は深刻な供給過多の継続が懸念されることから、鶏卵生産者に向けて、適正な需給バランスを保ち、鶏卵の生産基盤を維持するため、自社の販売に合わせた生産体制に取り組むことを求める「需要環境に対応した生産体制構築のお願い」を発出した。内容は次の通り。
1、生産環境
令和5年(1~11月累計)の全国え付け羽数は前年比102.1%と、昨シーズンの鳥インフルエンザによる生産減少の影響からは回復途中にあり、今春頃まで続くものとみられています。
また、飼料価格は穀物需要の拡大や海上運賃、円安などにより高止まりとなっています。さらには2024年物流問題による運賃増など厳しい生産コスト環境が継続する見通しです。
2、需要環境と相場動向
令和4年度の鳥インフルエンザは、採卵鶏で1654万羽もの殺処分によって長期間にわたる供給制限が行なわれました。そのため、鶏卵加工ユーザーにおいては、量目の変更、輸入品への切り替え、他原料への置き換えが発生し、鶏卵生産が半数以上回復した現状でも需要は戻り切っておらず、鶏卵相場は2月1日現在、東京M基準値(1キログラム当たり)180円と、下落したまま推移しています。
3、需要に見合った生産について
今後、生産コストの高止まりが懸念される中、需要を上回る供給が続けば、相場は浮揚せず、安定した経営基盤の構築が困難となります。今シーズンも鳥インフルエンザが発生し、予断を許さない状況ですが、え付け羽数の動向からも増産傾向であり、このままでは深刻な需給失調が継続する見通しです。
皆様の安定した経営環境を実現するには、販売先の業態と状況に応じた生産が不可欠です。
苦難が続く鶏卵業界ではありますが、安定した需給の維持とコストに合う相場への浮揚のため、個々の需要に見合った生産体制の構築をお願いします。