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【無断転載禁止】鶏鳴新聞2020年9月15日号
IECの2019年各国データ(上) 1人当たり鶏卵消費量 日本は338個で2位

国際鶏卵委員会(IEC)は、各国のレポーターが報告した2019年次の統計数値をまとめて会員向けに公表した。概要を2回にわたって掲載する。今回は鶏卵消費量、飼料価格と生産コスト、産業の雇用数。

鶏卵消費量

各国の2019年の年間1人当たり鶏卵消費量(殻付換算、家庭・業務・外食を含む)を、本紙が集計してまとめたものが表【主要国の1人当たり鶏卵消費量】。

1~3位は前年から変化なく、1位はメキシコの372個(前年比4個増)、2位が日本の338個(同1個増)、3位がロシアの306個(同1個減)。

4位は米国と中国の293個、6位はコロンビアの292個となった。米国は前年より9個増加し、4位に浮上。中国は数値が毎年乱高下しており、前年より38個増えた。7位のアルゼンチンは14個増、カザフスタンも31個増加した。このほか2ケタ増となったのは17位のペルー(10個増)、18位のブラジル(18個増)、20位のフランス(10個増)、22位のイラン(24個増)、30位の南アフリカ(22個増)。一方、スペインは25個の大幅減となった。

19年は新たに韓国、モンゴル、パキスタンの報告があり、韓国は270個で9位となった。

前年も報告があった30か国のうち、消費量が増えたのは21か国、減少したのは7か国、変化なしが2か国。

日本は前年比1個増の338個となり、過去最高記録を更新した。30か国の平均も前年比5個増の230個となった。増加の背景として、各国の経済成長や生産技術の普及・向上に加え、「ゴールデン・エッグ・アワード」などを実施しているIECの働きかけもあって、各国の鶏卵関係者による消費拡大運動がますます盛んになり、健康面のメリットが消費者により広く認知されるようになってきたことなども挙げられる。

ただ今年(2020年)については、新型コロナウイルス感染症対策の影響で、世界的に業務・外食の需要が数か月間にわたり大きく減退しており、各国で大幅な下振れなどが懸念される情勢となっている。米国農務省は8月の需給予測で、同国の2020年の年間1人当たり予想鶏卵消費量を、19年の同省推定値より8.4個少ない283.8個としている。

飼料価格と生産コスト

IEC加盟各国のうち、ほぼ毎年報告がある主要な鶏卵生産国の1トン当たり飼料価格と、鶏卵生産コスト(農場出荷時の原卵1ダース当たり、いずれも米ドルベース)を表【主要国の採卵鶏飼料価格と生産コスト】に3年分まとめた。

このうち、2019年の飼料価格が最も安いのは昨年と同じイランで153.30ドル。一昨年の米国の経済制裁などで急激なインフレとなり、自国通貨(イランリアル)の対米ドルの価値が大幅に下がったためとみられる。2位は穀物安が続く米国の220.30ドルで、2020年は直近の新型コロナウイルスによるエタノール需要低迷の影響で、さらに下がるとみられる。3位はカザフスタンの221.00ドル。基本的に、穀物を自国で調達できる国が安い。

高い順では、1位は日本の621.58ドル、2位はスイスの556.65ドル。このほかの国々は、300~200ドル台となっている。

IECに報告されている日本の飼料価格は、農林水産省・飼料課の流通飼料価格等実態調査の配合飼料成鶏用バラ1トン工場渡し価格で、実際の生産者段階ではもっと安い価格が実態とみられるが、こだわりの飼料により卵のおいしさや品質などの差別化を図っている生産者では、まれにこの価格以上になっているものもある。

スイスの飼料価格の高さは、自国が原料穀物の輸入も生産もきわめて不利なアルプスの山中にあることや、各種規制も厳しいことなどによるとみられる。

スイスは生産物も世界で最も高い水準にあり、2018年の1ダース当たり鶏卵生産コストは3.02ドル。平均小売り価格は6.16ドルとなっている。高い鶏卵価格の要因として、前述の飼料価格の高さに加えて、同国は1981年からケージ飼養を禁止しており、各種基準を満たした平飼い・放し飼い卵やオーガニック卵しか生産できないことが挙げられる。ただし、手頃な価格の卵を求める消費者も多いことから、鶏卵の国内自給率は63%にとどまっている。

米ドルベースでの生産コストが最も安いのは、カザフスタンの0.48ドル。パキスタンやインド、コロンビア、ペルー、米国も0.6ドル台以下となっている。中国は0.74ドル、韓国は1.03ドルと報告しており、それぞれ日本の58%、81%の水準となっている。

鶏卵産業の雇用数

IEC統計には、雇用創出に関連する数字として2017年以降、一部加盟国の鶏卵産業の雇用者数も掲載されている。

日本は鶏卵産業の直接的な雇用者数が1万8000人、関連産業などの間接的な雇用者数が7000人と報告している。以下、直接・間接の順でデンマークは550人・350人、インドは300万人・300万人、イランは2万5520人・9782人、カザフスタンは4795人・4800人、メキシコが7万8392人・39万1960人、パキスタンが60万人・20万人、英国が1万人・1万3000人、米国が2万5640人・4万7508人。

多くの国は概数だが、供給管理システムがあるカナダは直接雇用者数7419人、間接雇用者数8548人と報告している。(つづく)

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