養鶏の生産コストの半分以上を占める配合飼料価格は、令和2年10~12月期から今年4~6月期までに累計で2万1450円値上がりした(JA全農の改定額、全国全畜種総平均)。(公社)配合飼料供給安定機構の飼料月報(速報版)では、今年3月の工場渡し価格(バラ、1㌧当たり)が成鶏用で8万5547円、ブロイラー用後期で9万970円となっており、4月からの値上げ分(4350円)を加えると、成鶏用は9万円前後、ブロイラー用後期は9万5000円前後になっているとみられる。
しかも、今年7~9月期は少なくとも8000円近くの値上げを予測する関係者が多く、ウクライナ情勢や世界の穀物需給動向、為替状況などを考慮すると、配合飼料価格の高止まりは長引くとみられる。
飼料基金からの補てんは、対象は当該四半期のみで、補てん額が積み重ならないため、結局は累計値上げ分がボディブローのように経営を圧迫することになる。
高病原性鳥インフルエンザの発生で、昨年の卵価(東京・M基準)は217円となったが、今年2月以降は前年同月を下回り、4月は31円安の211円、5月は39円安の219円で推移。今後はさらに下げに向かい、コスト割れ状態が続くと予想される。
鶏卵生産者からは、直面するコスト高に対応するには、飼料基金の異常補てん対策だけでは不十分で、卵価安定対策がないと経営に行き詰る生産者が続出しかねないとの声が強くなっている。このため、鶏卵生産者経営安定対策事業の現行補てん基準価格181円、成鶏更新・空舎延長事業の安定基準価格159円を、年度途中でコスト高に見合う水準に引き上げることを農水省に要望したいとの動きもあるようで、業界内での動向が注目される。
鶏肉業界は、輸入鶏肉の価格高騰などにより、需要が国産にシフトしたものの、相場は今年1~5月平均で、もも・むね合計で前年水準を約40円下回っている。配合飼料価格や燃料価格の高騰、人手不足などによるコスト高は鶏卵業界と同様で、対応が求められている。