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【無断転載禁止】鶏鳴新聞2022年7月5日号   7~9月期の配合飼料価格 全農、トン約1万1400円値上げ  レイヤー、ブロイラー用は平均上回る見込み

JA全農は6月22日、令和4年7~9月期の配合飼料価格について、飼料原料や為替の情勢を踏まえ、前期に対し全国全畜種総平均でトン当たり約1万1400円値上げすると発表した。関係者の事前予想を上回る値上げ幅となり、全畜種平均の配合飼料価格(工場渡価格)はトン当たり10万円前後になる見込み。ホクレンや商系飼料メーカー、専門農協系も値上げする。値上げ幅が1万円を超えるのは、本紙で記録している平成9年以降では初めて。

 今回の配合飼料価格の値上げは、ロシアのウクライナ侵攻の影響などによるトウモロコシと大豆かすの価格上昇、原油相場の高止まりに伴う海上運賃の上昇、急激な円安進行などが要因。
 改定額は地域別・畜種別・銘柄別に異なるが、トウモロコシと大豆かすの使用割合が高い育すう用、成鶏用、ブロイラー用、ウズラ用などについては全国全畜種総平均の値上げ幅を上回る見込み。
 全農が発表した飼料情勢は次の通り。
 ▽飼料穀物=トウモロコシのシカゴ定期は、ロシアのウクライナ侵攻により3月には750セント/ブッシェル前後まで急騰した。さらに、米国での作付け遅延などから、4月下旬には820セント/ブッシェル前後まで上昇したが、その後は同国での作付けが順調に進んだことなどから下落し、現在は770セント/ブッシェル前後となっている。
 今後は、北米・南米の天候に左右されるものの、需給は世界的に引き締まった状態が続くことから、相場は堅調に推移するものと見込まれる。
 ▽大豆かす=大豆かすのシカゴ定期は、3月には500ドル/トン台で推移していたが、米国でバイオディーゼル向け大豆油需要の高まりにより副産物である大豆かすの発生量が増加し、需給が緩和していることなどから下落して、現在は470ドル/トン前後となっている。
 一方、日本国内の大豆かす価格は、シカゴ定期は下落しているものの、主要輸入相手国である中国で新型コロナウイルスの感染再拡大により大豆搾油量が減少し、中国産の調達が困難となったことや、南米産などへの切り替えにより輸送費が増嵩していること、さらに外国為替の円安の影響などから、大幅な値上げが見込まれる。
 ▽海上運賃=米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、2月上旬には60ドル/トン前後まで下落したが、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う原油相場の高騰や、石炭の輸送需要の増加などにより船腹需給が引き締まったことから上昇し、現在は80ドル/トン台となっている。
 今後は、原油相場が高止まりしていることに加え、南米産穀物の輸出が本格化することなどから海上運賃は堅調に推移するものと見込まれる。
 ▽外国為替=3月前半には1ドル115円台で推移していたが、米国でインフレ率が高い水準で継続しており、利上げの実施により日米金利差が拡大していることから円安が進み、現在は130円台となっている。
 今後は、日米の金利差が引き続き拡大する可能性が高いものの、金融引き締めにより米国経済の景気悪化も懸念されることから、相場は一進一退で推移するものと見込まれる。

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