単収・生産量と輸出量下方修正
価格は依然、高値圏で推移
米国農務省(USDA)は8月12日に、最新の農産物需給予測月報(WASDE)を公表した。米国産はコーンベルト北部の干ばつなどを受けて単収と生産量を下方修正したが、輸出量や総使用量も若干下方修正した。
トウモロコシ
現在消費している20/21穀物年度の米国産(旧穀)については、前月予想からエタノール向けを含む国内使用量を4000万ブッシェル上方修正したものの、輸出量を7500万ブッシェル下方修正したため、同年度の期末在庫と21/22年度の期初在庫が3500万ブッシェル増えた。
今秋収穫する21/22年度産(新穀)については、前月予想から単収を4.9ブッシェル、生産量を4億1500万ブッシェル下方修正。飼料向けや輸出量も各1億ブッシェル下方修正したが、期末在庫は1億9000万ブッシェルの下方修正となり、期末在庫率は前月予想より1.1ポイント低くなった。平均農家販売価格は15セント上方修正した。
大豆
20/21穀物年度の米国産については、前月予想から搾油量を1500万ブッシェル、輸出量を1000万ブッシェル下方修正したため、同年度の期末在庫と21/22年度の期初在庫が2500万ブッシェル増えた。
21/22年度産については、前月予想から単収を0.8ブッシェル、生産量を6600万ブッシェル下方修正。ただし、搾油量と輸出量も2000万ブッシェルずつ下方修正し、期初の増加分などを合わせて、期末在庫は前月予想と同じ1億5500万ブッシェルとした。期末在庫率と平均農家販売価格も前月と同じ3.5%、13ドル70セントを維持した。
世界については、中国の輸入が現地の搾油マージン減少を受けて鈍化していることから、20/21年度、21/22年度とも100万トン(約3674万ブッシェル)ずつ下方修正した。ただし、大豆油などの食用油の国際価格は依然、記録的な高値圏で推移しており、米国産大豆の輸出量も過去最高を更新する状況となっている。
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シカゴ相場は、8月12日のWASDEの単収や期末在庫などが市場関係者の事前予想を下回ったことに反応し、トウモロコシ先物(12月限)は5ドル54セント前後から瞬間的に5ドル80セント台を超えたが、8月30日現在は5ドル40セント前後で推移している。
大豆先物(11月限)は12日の発表に加えて、ミネソタ州やダコタ両州などコーンベルト北部での激しい干ばつが報じられたことで、16~17日には13ドル70セント前後まで値を上げたが、その後、ミネソタ州やアイオワ州での降雨や、ハリケーンによる輸出施設への被害などが報じられて下落し、8月30日時点は13ドル前後で推移している。